防護柵設置基準の変遷

私達は普段道を歩いていると、かならず道路上にガードレールなどの防護柵を見つけることができるようになっています。

そこでちょっと注意をして見てもらいたいのが、このガードレールや防護柵のデザインや強度についてです。

強度についてまでは素人目ですぐにわかることはないのですが、それまで設置してあった防護柵があるときを境に突然立派なものに作り替えられていたというようなことは観察力のある人ならば気づいたことがあるはずです。

これは、道路上に設けられている防護柵は年々強度についての基準が高まる傾向にあるためであり、また防護柵を設置する工事事業者や鉄鋼メーカーの技術力の向上により、従来品よりもかなり丈夫でデザイン性の高いものが作られるようになりました。

道路上にある防護柵の設置基準が最初に定められたのは1956年(昭和31年)からのことで、社団法人日本道路協会から「鋼道路橋設計示方書」が刊行されその基準が設定されました。

しかしこのときの基準はそのあとに起こる事故や社会情勢により少しずつ変化を重ねてきており、最近では2008年(平成20年)1月より最新の設置基準が定められることとなっています。

防護柵の設置基準を変えた事故

防護柵についてはこれまで時代の変遷とともに設置基準が少しずつ改正されてきましたが、決定的に変化することになったのは2006年(平成18年)に福岡市東区で起きた橋梁での交通事故でした。

記憶に新しいことと思いますが、この事故は同年8月25日に中道大橋の上において市内在住の会社員の自動車に福岡市職員の男性の自動車が追突をし、その勢いで博多湾に転落して3児が亡くなるという大変痛ましいものでした。

この事故では追突をした福岡市の男性職員が大量に飲酒をしていたことにより、危険運転致死傷という新たな罰則を作りきっかけにもなったものでしたが、それともう一つ橋梁の防護柵の強度についても見直し検討を求める大きなきっかけとなった事例でした。

というのも追突を受けた時に自動車は防護柵を破壊して博多湾に転落しており、もし防護柵の強度がより強いものであったならここまで悲惨な事故は防げたのではないかと思われているためです。

この事故ばかりでなく以前からも防護柵の強度によって防げたかもしれない事故事例はいくつかあり、そのことから何度も防護柵の基準については見直しがかけられています。

防護柵の種類について

最近では、一律に白いガードレールを設置するだけでなく、街の景観を意識した新しいタイプの防護柵も登場してきています。

最近一般的なのがガードパイプと呼ばれるパイプによる防護を行う柵で、横に長いパイプを配置するタイプの他、縦にパイプを並べるタイプや、パイプ部分がワイヤーになっているものなどさまざまな形状のものがあります。