死亡事故の3割がヘルメット離脱に関係
バイクに乗る際、ヘルメットを着用するのは法律で義務付けられており、多くのライダーがその義務を果たしています。しかし、交通事故が起きたとき、ヘルメットが正しく装着されていないために頭部を守るはずのヘルメットが離脱し、致命傷に至るケースが後を絶ちません。
特に、死亡事故の約3割がヘルメットの「離脱」と関係しているという事実は見過ごせないものです。離脱の原因の一つとして挙げられるのが、あごひもの締め付け不足です。あごひもを緩く結んだり、全く締めていない状態で走行していると、転倒や衝突時にヘルメットが外れてしまい、致命的なリスクを高めてしまうことが報告されています。
ヘルメット離脱が引き起こすリスク
ヘルメットが事故時に離脱すると、本来守るべき頭部が衝撃に晒されることになります。2020年のデータによると、バイク事故で亡くなった方のうち、頭部の損傷が致命傷となった割合は特に高いとされています。胸部もまた致命的な損傷部位ではありますが、頭部への衝撃は即死や重篤な障害を引き起こす可能性が高く、最も注意が必要です。
データから、適切にヘルメットを装着していた場合、死亡リスクが大幅に低減されることが確認されています。しかし、あごひもを締めていない場合や、サイズが合わないヘルメットを使っていた場合、事故時の防護効果は著しく低下します。
若年層と高齢層が特に注意すべき理由
事故時のヘルメット離脱率を年齢層別に見ると、16歳から25歳の若年層および66歳以上の高齢層が特に高い割合を示しています。若年層では、あごひもを適切に締める習慣がない場合や、気軽にヘルメットを選ぶことが多いことが原因として考えられます。一方、高齢層では身体的な変化により、ヘルメットがフィットしにくくなったり、正しい着用が疎かになるケースが見られます。
これらの背景から、特にこの2つの年齢層には正しいヘルメットの装着方法と、適切なあごひもの締め方を普及させる必要があります。
あごひもの締め方が命を守る鍵
ヘルメットを正しく装着する第一歩は、あごひもをしっかり締めることです。以下のポイントを押さえて、あごひもがしっかりと役割を果たせるようにしましょう。
- 適切な長さに調整
あごひもは指が1本入る程度の緩さが理想です。これより緩いと、事故時にヘルメットが外れる可能性が高まります。 - 左右対称に締める
片側だけがきつい、または緩い状態では、装着時の安定性が失われます。両方のひもを均等に締めることを意識してください。 - 使用前に確認を習慣化
ヘルメットをかぶる際、あごひもが緩んでいないか必ず確認しましょう。しっかり締めたかどうかは、指で軽く引っ張るだけでも確認できます。
適切な装着を促進する取り組み
警視庁や交通安全団体は、ヘルメットの正しい装着方法について啓発活動を行っています。例えば、警視庁が行った調査では、27%のライダーがあごひもを緩く結んでいるか、全く結んでいないことが分かりました。この事実から、適正着用の普及啓発が重要な課題であることが浮き彫りになっています。
また、ヘルメットメーカーも正しい装着方法を普及させるための資料や動画を提供しており、多くのライダーが適切な知識を得られるよう努めています。
自分自身と他者の安全を守るために
バイクは便利で楽しい乗り物ですが、その反面、事故のリスクも抱えています。ライダー自身が事故のリスクを減らすためにできることの一つが、ヘルメットの適切な装着です。あごひもをしっかり締めるという基本的な行動が、命を守る大きな一歩になります。
つい忘れがちなあごひもの締め付けを日常的な習慣にするために、バイクに乗る前のルーティンとして取り入れてみてください。例えば、グローブをつける前にあごひもを確認するなど、シンプルな工夫で安全を確保できます。
まとめ
ヘルメットを着用するだけでなく、正しく装着することが求められています。特にあごひもの締め方は非常に重要で、死亡事故のリスクを大きく減らす鍵となります。全てのライダーが安全にバイクを楽しむために、正しいヘルメットの着用方法を理解し、実践することを心がけましょう。
安全なライディングは、正しい知識と行動から始まります。ライダーの皆さん、自分の命を守るためにも、あごひもは正しく締めましょう。