道路交通環境の整備事業の実際

交通事故を防止するために国土交通省が取り組むべき最初の方策となるのが道路交通環境の整備です。
私達が普段何気なく使っている道路ですが、それは自然発生でできるものでは決してなく、公共事業として税金を投入して作られたものです。

道路の多くは昔より人の往来に使われてきた道をきちんと舗装しなおしたものですが、中には交通事情や気候状況などを考え、適切な位置や広さに作り変えたというようなものも数多くあります。

国の施策としての交通状況の整備はそこをとおる自動車や人の安全を確保するとともに、より素早くわかりやすく移動や物流をしていくために必要なことですので、その整備のためには長期的な計画をもとに確実に作っていくことが求められます。

また道路には舗装された地面だけでなく、信号機や道路標識、光ビーコンや交通情報板といった設備が必ず設置されています。

それらも基本的な原則にそって作られるとともに、特に見にくい場所においては独自の工夫をするなどの対策が必要になってきます。

歩行者・自転車への安全対策の推進

今最も交通整備事業として力を入れられているものの1つが、歩行者や自転車のための通行レーンの確保です。
これまではどちらかと言えば道路は自動車が通行するためのものというイメージが強く、より自動車が通行しやすい幹線道路や交通道路の整備に最も力が入れられてきました。

ですがここ最近の死傷事故を見てみると急増傾向にあるのは自転車に関するものであり、自動車だけでなく自転車に関しても専用の取り締まりを警察によって行わなくてはならないものとしています。

その背景にあるのは不景気や都市部への人口集中による若い世代の自動車離れと社会全体の健康志向です。
また、過去の震災や自然災害において自動車が移動手段として麻痺してしまうことが分かったことにより、自力で非難や帰宅ができるように自転車で通勤・通学をしようとする人が増えたということがあります。

またさらに、近年ではロードバイクなどの高性能自転車が安価に購入できるようになるとともに、自転車ブームと言えるほど加熱化が見られているため、バイクと同程度のスピードの出る自転車も各地で見かけることができるようになりました。

そのことが自転車の無謀運転を増加させるとともに、道路状況によっては重大な歩行者との接触・衝突事故を招くことにもなってしまっています。

地方都市の自転車道・歩道の確保が急務

特に問題となっているのが、地方都市における自転車道や歩道の確保です。

都市部よりもむしろ地方の中核都市などはクルマ社会が徹底されており、幹線道路の多くには歩道が十分に確保されていないのが実情です。

そのためいくら歩行者や自転車が安全に心がけた移動をしていたとしても、大型トラックなどが通行するとほんのすぐ脇をかすめて通って行くというような危険な状態ができていたりします。

現在ではそうした問題に対応するべく全国各地で歩道や自転車道を作り直したり道路を拡張したりするといった工事が急ピッチで進められています。