交通安全講座〜歩行者編〜

歩行者の斜め横断とは

斜め横断とはそもそも何?

歩行者の斜め横断とは、横断歩道の手前で車道に出て、横断歩道に途中から入っていく横断方法です。
きちんと横断歩道を歩いてると青信号までに向こう側にたどり着けない、少しでも近道したいなどの理由で斜め横断する人がいます。
しかし、横断歩道の手前から車道に入っていく行為は、歩行者が思っているよりも事故のリスクが高いと言われています。

単純に考えて、斜め横断は横断歩道をまっすぐ横切るのと比較して、横断中の距離は長くなります。
距離が長くなれば、渡り切るまでの時間もおのずと長くなります。
渡り切る前に青信号が点滅してしまって、渡り切る前に赤信号に切り替わってしまう恐れがあります。
その結果、交通事故に遭遇する確率が上がってしまうわけです。

斜め横断は過失割合が高くなる?

斜め横断して交通事故に遭遇した場合、歩行者の過失割合が高くなる可能性があります。
過失割合を出すにあたって、歩行者がどこを通行していたかは重要なポイントになるからです。
一般的には横断歩道上を通行していたのであれば、過失割合は0%です。
これが横断歩道付近だと30%、横断歩道から遠く離れていると20%がベースです。
横断歩道付近とは、片側2車線以上の場合だと横断歩道から50メートル、それ以外は30メートル以内が目安になるといわれています。

こうしてみると、横断歩道付近の方が、そうでないときと比較して過失割合が高くなっています。
これは法律との兼ね合いが理由で、法律の中で歩行者が横断歩道のある場所の近くにいるなら、横断歩道を使って道路を横断しなければならないと規定されています。
この義務があるからこそ、横断歩道を通行している歩行者に対しては、法律上強い保護を受ける形になります。
ところが横断歩道が近くにあるのにもかかわらずそれを使わなかったのであれば、歩行者も注意義務を無視したと解釈できます。
これが過失と判断されるので、横断歩道が近くにあるのにそこを渡らなかった方が過失割合が大きくなるのです。

また、元々斜め横断するのは道路交通法上でも禁止されている行為です。
先ほども紹介したように、歩行者が斜め横断すると移動距離がどうしても増えます。
さらに運転者からしても歩行者の斜め横断は予測が難しく、死角から飛び出すように見えるので事故リスクが高まるのです。
もし斜め横断すれば、交通事故に遭遇した場合、自分もそれなりの責任を負わなければならなくなるかもしれないことは理解しておきましょう。

横断歩道の近くから斜め横断しようとする歩行者をしばしば目にしますが、以上のように、この行為は非常に危険です。
車両と接触する危険性が出るほか、横断歩道付近に居ながらにして横断歩道を通行していないとして、過失割合が大きくなる可能性もあります。
事故が起きてもぶつかった車両から十分な賠償を受けられなくなるので、斜め横断はしないように心がけて下さい。