交通安全講座〜歩行者編〜

歩行者側の「違反」で死亡するケースも多い

横断歩道を渡る前に左右をチェック

交通事故と言うと自動車同士や自動車とバイクでの事故などが真っ先に浮かぶ人も多いと思いますが、実は歩行者の交通事故というのも非常に多いものです。
警視庁が発表した、2021年の交通事故の状況を見てみても、歩行者の割合が非常に高いことが分かります。

2021年中の交通死亡事故を全国的に見ると、歩いている最中に亡くなった人の割合は35.7%ですが、都内だけに限ってみると47.4%と非常に高くなっています。
特に七十歳以上の歩行者の交通死亡事故はとても多くなっているので、お年寄りのいる家庭では特に注意が必要です。

横断歩道を渡っている最中の交通事故もかなり多く、都内の2021年中歩行者の交通死亡事故を事故類型別で見てみた場合、「横断中(横断歩道、横断歩道付近等)」が61.9%と非常に多くなっています。
横断歩道を通行中の交通事故を避けるためには、まず最初に「車が来ていないかどうか」をチェックし、次に車が止まったかチェックしてから横断することが大切です。
さらには、渡っている最中も車が左右から来ていないかどうかに気を配るようにしたいものです。

夕暮れ時は歩行者が死亡する事故が多い

1日の中で見ると、夕暮れ時に歩行者が死亡する事故が多くなっています。
時間帯別の死亡事故について、2017年から2021年までの5年間発生件数を見ると、17時台〜19時台の時間帯に事故がかなり多くなっています。
夕暮れ時を警察庁では「薄暮時間帯」と定義しており、この時間帯は自動車対歩行者の事故がかなり多くなっています。
昼間と比較すると薄暗い時間帯に発生する事故の数は約3.6倍で、ほとんどは横断中に発生しています。

歩行者の違反も見逃せない

歩行者が死亡する交通事故では、一方的に自動車やバイクが悪いというわけではなく、歩行者の違反が多い事実も見逃せません。
横断中死亡事故のうち、約7割は歩行者に法令違反があるという統計が出ていますので、交通ルールは厳格に遵守しなければならないことが分かります。
道路を斜めに横断しない、あるいは歩行者横断禁止の標識で横断が禁止されている道路は横断しないなどの注意が必要でしょう。

夕暮れ時の事故に巻き込まれないためには、ドライバーから見やすい服装を心がけることも大切です。
受けた光を強く反射する反射材を用いた衣類や靴を使用したり、明るい色の服装を身につけることによって事故をかなり防ぐことができます。
それともう一つ、横断をする際には左方向から車と衝突するケースが多いので、特に左方向に気をつけることも大切です。
ドライバーの方でも、ライト(前照灯)を早めに点灯して昼間より速度を抑えて運転するなどの工夫をすることで、事故を避けることができるでしょう。